自動車保険の基礎知識
次のような場合には保険金が支払われません
■対人賠償保険、対物賠償保険共通
- 父母・配偶者・子に対する賠償損害
- 地震・噴火・こう水・高潮・津波による損害
■対物賠償保険
受託物に対する賠償損害
■人身傷害保険、搭乗者傷害保険、車両保険共通
- 酒酔い運転、無免許運転、麻薬等運転による運転者本人の傷害および車両損害
- 地震・噴火・津波による損害または傷害
■人身傷害保険、搭乗者傷害保険共通
被保険者(保険の補償を受けられる方)が契約しているクルマ(人身傷害保険の場合は、他の自動車を含む)の使用について、正当な権利を有する者の承諾を得ないでその自動車に搭乗中に生じた損害または傷害
■他車運転危険担保特約
被保険者(保険の補償を受けられる方)の使用者の業務のために、その使用者の所有する自動車を運転しているときの損害または傷害
複数所有新規割引(セカンドカー割引)とは、無事故を続けた優良な契約者に限って、2台目、3台目の新規契約を割り引きましょうというものです。
2台目以降の自動車保険を契約するときに、1台目の保険証券、車検証などを保険会社で確認できれば、保険会社が別でも割引が適用されます。
複数所有自動車割引が適用される条件としては、1台目のクルマの等級が11等級以上であり、基本的に保険の契約者とクルマの所有者が1台目も2台目も同じで、なおかつ個人でなければないけません。
ただし、最近は同居の親族ならOKという保険会社もあります。
「複数所有自動車割引」を知らないと損をすることになり、1台目とは別のディーラーで2台目を購入するようなときは、申告しないと、そのまま割引なしで計算されてしまうこともあるので、注意が必要です。
※内容については、保険会社によって 異なる場合があります。
自家用乗用車(普通・小型・軽四輪)、二輪自動車、原動機付自転車については、次のいずれかの年齢条件を選ぶことができます。(ノンフリート契約のみ対象です。)
- 全年齢担保
- 21歳以上補償
- 26歳以上補償
- 30歳以上補償
(注)原動機付自転車の場合は1.2.のいずれかのみとなります。
当然すべての年齢を補償する全年齢担保の保険料が最も保険料が高く、30歳以上補償の方が保険料は安くなります。
もちろん損害保険会社や個々の商品によって違いはあります。35歳以上補償の設定ができる自動車保険もありますし、中にはこれよりもさらに細かい区分になっている自動車保険もあります。
意外とその初契約時の年齢条件をそのままにしている人が多いようです。
自分の自動車保険の年齢条件を、自動車保険の更新時などにきちんと年齢条件を確認して、現在の状態にあった条件を選ぶようにしましょう。
そしてその年齢条件を設定する時、契約のクルマを運転する可能性のある、お子さんや奥さん、友人や同僚の年齢などもしっかり考慮に入れるように注意しましょう。事故が起きてしまってからでは手遅れです。
※最近は、「子供特約」や「臨時運転者特約」などといったものもあり、わずかな追加保険料でリスクをカバーできる場合があります。
※内容については、保険会社によって 異なる場合があります。
「車両保険」とは、契約しているクルマが、偶然の事故によって損害を受けた場合に、修理代などが支払われる保険です。
車両保険の保険金額については、契約するクルマの年代・価格・種類など「時価」をもとに決定されるので、50万円の値打ちしかないクルマに、300万円の保険をかけたり、500万円のクルマに100万円の保険をかけようと思っても基本的にそれはできません。
クルマの保険金額は、最新の「時価」データにしたがって決まります。そして、価格や事故率の高いクルマほど、保険料も高くなります。
しかし、カバーする補償範囲や免責金額については、自由に設定できるので、保険料の面で調整することができます。
車両保険の対象となる損害は以下の7種類です。
- 他車との衝突・追突・接触
- 台風・洪水・高潮
- 盗難
- 落書き・いたずら
- 火災・爆発・飛来物
- 当て逃げ
- 自損事故
車両保険の契約形式(補償範囲)は、大きく分けて3つの種類があり、保険料が高い順に、(1)一般車両保険、(2)エコノミー+A特約車両保険、(3)エコノミー車両保険となります
まず、「一般車両保険」は、設定された7種類の損害すべてを網羅。保険料はその分かなり高くなりますが、自分のミスで起こした単独事故や、当て逃げによる損害もカバーできます。
次に、「エコノミー+A特約」は、一般車両保険の内容から、単独事故と当て逃げを除いていますが、盗難のほか、走行中に前車の跳ね上げた小石で窓ガラスが破損したようなケースでも、保険金が支払われます。保険料は一般車両と比べるとかなり安くなります。
最後に、「エコノミー」は、他車との接触などによる損害だけしかカバーしていません。
車両保険は、自分の運転技術、クルマの価値、周辺の環境など、人によって状況は大きく異なるので、自分にあったカバー範囲や免責金額を設定することが大切です。
※内容については、保険会社によって 異なる場合があります。
人身傷害補償保険は、被保険者(契約者や家族など)が自動車事故でケガをしたり死亡したときに、過失割合の大きさに関係なく、契約した保険金額を限度に100%保険金が支払われるものです。
保険の自由化以降一般的になった商品です。
通常、自動車事故によって、運転者や同乗者が死亡したりケガをした場合でも、運転者に過失がある場合、その過失割合に応じて、 保険金額が減額されてしまいます。
しかし、人身傷害補償保険では、本来ならば加害者から受け取るべき補償も含めて、どのような事故でも、ケガによる治療費・休業補償・慰謝料などの保険金を契約した保険金額を限度に、自分の契約した保険会社から100%受け取れます。
クルマに搭乗している人はもちろん、家族についても、他のクルマに搭乗中や歩行中に自動車事故にあった場合でも、保険金を受け取ることができます。(契約しているクルマに搭乗中の死傷のみに限定して補償する「搭乗中のみ担保特約」にすることもできます。)
また、通常は相手方との示談が成立してからでなければ保険金を受け取ることはできませんが、人身傷害補償保険では、契約している保険会社の支払い基準にしたがって、示談の結果を待たずに保険金をすぐに受け取ることも可能です。
※内容については、保険会社によって 異なる場合があります。
「自損事故保険」とは、クルマの所有者や運転者が、自動車事故によって死亡したり、後遺障害または傷害を被り、それによって生じた損害について、自賠責保険で保険金が支払われない場合に、保険金が支払われるものです。
「ハンドル操作をあやまってガードレールに突っ込んでしまった」「コーナーを曲がりきれずガケから転落した」といった単独事故や、クルマ対クルマの事故でも、「信号待ちで停車しているクルマへの追突」や「センターラインをはみ出して対向車と衝突」といったケースのように、すべての過失が一方の運転者にある事故で、相手のクルマの過失がゼロならば、たとえ運転者がケガをしたり死亡しても、相手のクルマの自賠責保険や任意の対人保険は支払われません。
こういう事故が起こったときに最低限の補償をしてくれるのが、任意保険の「自損事故保険」です。
補償内容
- 死亡保険金・・・1名あたり1,500万円
- 後遺障害保険金・・・1名あたり50~1,500万円
- 医療保険金・・・1名あたり日常生活または業務に支障のある治療日数1日につき入院した場合は、6,000円、通院の場合は4,000円(ともに100万円を限度)が、搭乗者傷害保険とは別に支払われます。
- 重い後遺障害を被り、介護を要すると認められた場合には、介護費用保険金としてその程度に応じて1名につき200万円または350万円が保険金額とは別に支払われます。
自損事故保険は、対人保険を契約すると自動的にセットされます。
人身傷害保険でも補償されるケースについては、人身傷害保険から保険金が支払われ、人身傷害保険ではカバーしきれない場合にこの保険から保険金が支払われます。
※内容については、保険会社によって 異なる場合があります。
「無保険車傷害保険」とは、契約車に乗っている人が、他車との事故で死亡または後遺障害を被ったとき、相手に損害賠償を請求できるにもかかわらず、相手のクルマが対人賠償保険をつけていない「無保険車」のために十分な補償が受けられなければ、この保険から賠償金が支払われます。
保険金額は自分の契約している対人保険と同じ金額ですが、無制限で加入している場合は、2億円が上限となります。
支払の対象となる「無保険自動車」とは次の場合をいいます。
- 対人賠償保険等がついていないクルマの場合
- 対人賠償保険等はついているが、運転者の故意や泥棒運転、年齢条件や家族限定特約の条件に違反しているなどの理由で保険がおりない場合
- 対人賠償保険等はついているが、その保険金額が被害者の損害額よりひくい場合
- ひき逃げ等で相手がわからない場合
無保険車傷害保険は、各保険会社が出している完全補償タイプのセット保険を契約すれば自動的に付いてきます。
※保険会社各社によっては、内容が異なる場合があります。
「搭乗者傷害保険」は、保険を契約したクルマに搭乗中の人が、自動車事故によって死亡したり、後遺障害または傷害を負った場合に、保険金が支払われる保険です。
「搭乗者」はそのクルマに乗っているすべての人のこと、つまり、同乗者だけでなくドライバー本人も含まれています。
この場合の「搭乗者」とは、正規乗車装置または当該装置のある室内(隔壁などにより通行できないよう仕切られている場所を除く)に搭乗中の人のことで、荷台などへの上乗りは含まれません。
搭乗者傷害保険の支払内容は以下の通りです。
「死亡保険金」・・・事故日を含めて180以内に死亡した場合に1名あたりの保険金額の全額が支払われます。
「後遺障害保険金」・・・後遺障害の程度に応じて1名あたりの保険金額の最低4%、最高100%が支払われます。
「重度後遺障害特別保険金」・・・重度後遺障害を負い、かつ介護が必要と認められる場合、1名当りの保険金額の10%(100万円限度)が支払われます。
「重度後遺障害介護費用保険金」・・・重度後遺障害を負い、かつ介護が必要と認められる場合、後遺障害保険金の50%(500万円限度)が支払われます。
「座席シートベルト装着者特別保険金」・・・シートベルト(チャイルドシートを含む)を装着中に道路で事故により死亡した場合は、1名当り保険金額の30%(300万円限度)が加算して支払われます。
「医療保険金」・・・医療保険金については、日額払と部位・症状別定額払があります。
- 「医療保険金日額払」・・・ケガの治療のために入院、通院した場合に支払われるもので、入院は1日につき保険金額の0.15%、通院は0.1%が支払われます。
- 「医療保険金部位・症状別定額払」・・・傷害を被った部位・症状に応じて、定額(一定の決まった金額)が支払われるものです。
※内容については、保険会社によって 異なる場合があります。
「対物賠償保険」とは、自動車事故により他のクルマや建物、電柱など、他人の財物に損害を与えて、法律上の賠償責任を負う場合に保険金が支払われるものです。
対物賠償の対象となるモノについては、他人のクルマや所持品、建物、ガードレール、電柱など、自分のクルマによって損害(破損、汚損、滅失)を与えた全てとなります。
また、損害賠償については、壊したモノだけではなく、事故によって生じた間接的な損害(休業損害、営業損失など)についても対象となります。
踏切事故で電車をとめてしまったり、交差点内でトラックと衝突し信号機に衝突したケース、いねむり運転中の乗用車が商店に飛び込んだり、超高級車に衝突してクルマが大破したりしたケースでは、高額な損害賠償請求になることもあります。
また、対物賠償保険での支払い対象は、あくまで他人のモノです。被保険者(記名被保険者とその配偶者、同居の親族、姻族など)の所有する財物は対象になりません。
つまり、ご主人が車庫入れの途中、誤って妻のクルマに衝突した場合等は、お互いのクルマの損害は「対物保険」ではカバーでなきないということになります。
対人賠償責任保険は、自動車事故で歩行者や他のクルマの搭乗者などを死傷させて、法律上の賠償責任を負うときに、自賠責保険で支払われる金額を超える部分に対して保険金が支払われるものです。
対人賠償保険の支払い対象は、あくまで「他人」です。ここでいう「他人」とは、「被保険者(保険の対象となる人)」以外の人のことで、「被保険者」は対人賠償の対象にはなりません。基本的に、契約者の配偶者や子供、同居の親族は被保険者となります。
つまり、単独事故でガードレール等に衝突して助手席や後部座席の妻や子がケガをしても、そのクルマの対人賠償責任保険は支払われません。また、駐車場で遊んでいた自分の子供を父親がはねた場合も保険金は支払われません。
被害者へのお見舞い品代、香典等の臨時費用として被害者1名につき、3日以上入院の場合は3万円、死亡の場合は15万円が支払われます。