道路交通法の基礎知識
(1)一時停止
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優先道路または広路に対して進入しようとする場合は、交差道路を通行する車両等の進行を妨害してはなりません。
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車両等の運転者は、具体的な危険の有無にかかわらず、一時停止の規制に従わなければなりません。
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一時停止をしても安全確認を怠って進行すれば、交差道路の車両等の進行妨害が成立します。
(2)停車
停車は、車両等が停止することで駐車以外のものをさします。
(3)駐車
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車両等が客待ち(人の乗降のための停止を除く)・荷待ち・貨物の積み下ろし(5分以内を除く)・故障・その他の理由により継続的に停止すること。
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車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあること。
の2つをさします。
なお、平成18年6月1日施行の改正道路交通法により、以下のとおり駐車違反の取締りが強化されています。
- 車両の所有者などを対象とした放置違反金制度の導入
- 民間の駐車監視員による放置駐車違反の確認
- 悪質・危険、迷惑な違反に重点を置いた、短時間放置駐車の取り締まり
- 放置違反金を納付しない場合、車検不可
(1)安全な速度
きめられた速度の範囲内であっても、道路や交通の状況、天候や視界などをよく考えて、歩行者や他の車に危害を及ぼさないような安全な速度で運転しなければなりません。(法70条)
(2)最高速度
- 高速自動車国道以外の道路では、標識や標示によって、その場所での最高速度が指定されているときは、その速度をこえて運転してはいけません。標識や標示で指定されていないときは、政令で定める最高速度(自動車は60km/h、原動機付自転車は30km/h)を超えて運転してはいけません。(法22条1項、令11条、12条)
- 前の車が急に止まっても、これに追突しないような安全な車間距離をとらなければなりません。安全な車間距離は、停止距離と同じ程度の距離です。(法26条)
(3)急ブレーキの禁止
危険を避けるためにやむをえない場合のほかは、急ブレーキをかけてはいけません。ブレーキは、数回に分けて使うようにしましょう。ブレーキを数回踏むとストップランプが点滅し、後車への合図となって、追突防止に役立ちます。(法24条)
(4)徐行
1.次の場所を通行するときは、徐行しなければなりません。(法42条)
- 「徐行の標識があるところ
- 左右の見通しがきかない交差点(信号機などによる交通整理が行われている場合や優先道路を通行している場合を除きます。)
- 道路のまがりかど付近
- 上り坂の頂上付近やこう配などの急な下り坂
2.「徐行」とは、一般的に時速10km以下の速度で走行することをさします。
3.次の場合でも、徐行義務が免除されませんので注意してください。
- 左右の見通しがきかない交差点にカーブミラーが設置してある場合
- 黄色点滅信号が作動している交差点および押しボタン式信号で黄色点滅している場合
(1)歩行者のそばを通るとき
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歩行者のそばを通るときは、歩行者との間に1m以上あけるか、徐行しなければなりません。自転車のそばを通るときも、同じ注意が必要です。(法18条2項)
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歩行者がいる安全地帯のそばを通るときは、徐行しなければなりません。(法71条3号)
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停留所でとまっている路面電車の後方で停止し、乗り降りする人や道路を横断する人がいなくなるまでまたなければなりません。しかし、乗り降りする人がいないときで路面電車との間に1.5m以上あるときや安全地帯があるときは、徐行して進むことができます。(法31条)
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ぬかるみや水たまりのあるところでは、泥や水をはねて他人に迷惑をかけないように徐行するなど注意して通らなければなりません。(法71条1号)
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止まっている車のそばを通るときは、急にドアがあいたり、車の影から人が飛び出したりする場合があるので注意しましょう。
(2)横断中の歩行者の保護など
- 横断歩道のない交差点やその近く(直近)を歩行者が横断しているときは、その通行を妨げてはいけません。(法38条の2)
- 横断歩道に近づいたときは、横断する人がいないことが明らかな場合のほかは、その手前で停止できるように速度を落として進まなければなりません。また、歩行者が横断しているときや横断しようとしているときは、横断歩道(停止線が引かれているところでは、その線)の手前で一時停止をして歩行者に道をゆずらなければなりません。(法38条1項)
- 横断歩道の手前で止まっている車があるときは、そのそばを通って前方に出る前に一時停止をしなければなりません。(法38条2項)
(3)初心運転者などの保護
初心運転者・高齢運転者または仮免許で練習中の者が、初心・高齢運転者標識または仮免許練習標識を表示した普通自動車を運転しているときは、危険を避けるためやむを得ない場合のほか、その車の側方に幅寄せをしたり、その車が必要な車間距離をとれなくなるような方法で前方に割り込んではいけません。(法71条5号の4)
(1) 無免許運転の禁止
道路で自動車や原動機付自転車を運転するときは、その車種やけん引などの状態に応じた免許を受け、その免許証を携帯しなければなりません。(法64条)
(2)酒気帯び運転の禁止
たとえ、少量でも酒気を帯びて運転してはいけません。「飲んだら乗らない。乗るなら飲まない。」という習慣をしっかり身につけましょう。(法65条1項)
(3)過労運転などの禁止
疲れているとき、病気のとき、眠気を催すような薬を飲んでいるときなどは、運転してはいけません。長時間にわたって運転をするときは、2時間に1回は運転をやめて休息をとりましょう。また、眠気を感じだしたら、早めに休息をとるか、体操をするようにしましょう。(法66条)
(4)整備不良車両の運転禁止
ハンドル、ブレーキ、マフラーなどの装置が調整されていないため、交通の危険を生じさせたり、有害なガスや騒音を出して他人に迷惑を与えたりするおそれのある車を運転してはいけません。(法62条)
(5)初心運転者などの心得
- 初心運転者(普通免許を受けて1年を経過していない者をいいます。)が、普通自動車を運転するときは、その車の前と後ろに初心運転者標識をつけなければなりません。これをつける場所は、地上0.4m以上1.2m以下の見やすい位置でなければなりません。しかし、大型免許や普通免許を受けていて免許が失効した者が、失効してから6ヶ月以内に新しく普通免許の交付を受けたときなどはこれをつける必要はありません。(法71条の5、令26条の4、規則9条の6)
- 仮免許を受けた者が、練習のため大型自動車や普通自動車を運転するときは、その車を運転することができる第一種免許を通算3年以上受けている者や第二種免許を受けている者などを横に乗せ、その指導を受けながら運転しなければなりません。この場合、車の前と後ろに仮免許練習標識をつけなければなりません。これをつける場所は、地上0.4m以上1.2m以下の見やすい位置でなければなりません。(法87条2項・3項、令32条の6、規則15条の3)
- 普通免許の試験を受けようとする者は、仮免許を受けたうえ、受験前3ヶ月以内に5日以上、高速自動車国道、自動車専用道路、交通の著しく混雑している道路、登下校時の通学通園路など以外の道路で練習をしなければなりません。
(6)自動車検査証などの備付け
自動車を運転するときは、自動車検査証や自動車損害賠償責任保険証明書を備付けていなければなりません。(道路運送車両法66条1項、自動車損害賠償保障法8条)
(7)通行の禁止
「通行止め」、「歩行者専用」、「自動車及び歩行者専用」、「大型貨物自動車等通行止め」などの標識によって通行が禁止されている道路を通行してはいけません。(法8条1項、道路法46条1項・3項、47条3項・4項)
(8)車道通行など
歩道や路側帯や自動車道や自転車歩行者専用道路などを通行してはいけません。しかし、道路に面した場所に出入りするために横切る場合などは別です。(法17条1項、17条の2第1項、道路法48条の9)
安全地帯や「立入り禁止部分」の表示によって、車の通行が禁止されている場所に入ってはいけません。(法17条6項)
歩道や路側帯のない道路を通行するときは、路肩(炉端から0.5mの部分)にはみ出して通行してはいけません。(車両制限令9条)
起動敷内を通行してはいけません。しかし、「起動敷内通行可」の標識によって認められた車が通行する場合や右折する場合などは別です。(法21条1項・2項)
起動敷内を通行している車は、後方から路面電車が近づいてきたときは、路面電車の進行を妨げないように速やかに軌道敷外に出るか、十分な距離を保たなければなりません。(法21条3項)
車両等の運転者は
ハンドル・ブレーキその他の装置を確実に操作し
他人に危害をあたえないような速度と方法で
運転する義務があります。
道路交通法第70条
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ道路交通法及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。 |
左図のように、道路標識等により最高速度が指定されている道路においては、車は最高速度を超えてはいけません。
その他の道路では、政令で定める最高速度を超えてはいけません。(道路交通法施行令第11条)。
政令で定められた最高速度
●原動機付自転車・小型特殊自動車以外の自動車
60km/h
●原動機付自転車(50cc以下)は
30km/h
高速道路の場合
- 大型貨物自動車h・軽自動車・自動二輪(125ccを超えるもの) は80km/h
- 上記以外の自動車は100km/h
左の道路標識がある道路の部分は、必ず徐行しなくてはなりません。また道路標識がなくても、次の場合は徐行しなくてはなりません。
1.左右の見通しのきかない交差点。
交差点付近の、建物、看板などによって、見通しがきかない交差点。
2.交差点内での見通しのきかない部分。
立体交差店の橋脚などで、構造上、見通しがきかない交差点のこと。
ただし、??において信号機がある場合と、優先道路である場合は徐行の必要はありません。
3.優先道路または交差する道路の幅員が明らかに広い交差点に進入する場合。
また、次のような場所においても、徐行の義務があります。
- 見通しの悪い交差点(優先道路の場合を除く)や道路のまがりかど付近
- 上り坂の頂上付近
- 勾配の急な下り坂
道路交通法第42条
車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。
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信号のない交差点で、以下の道路標識が設けられている場合には、車は停止位置で一時停止しなければなりません。
一時停止した後も、交差道路の進行を妨害してはいけません。
一時停止をしても安全確認をしなければ「一時停止義務違反」になります。
道路交通法第43条
車両等は、交通整理が行われていない交差点又はその手前直近において、道路標識等により一時停止すばえきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両は、第36条第2項の規定に該当する場合の他、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。 |
信号があってもなくても、交差点において車が右折する場合は、直進してくる車、あるいは左折しようとする車の進行妨害をしてはならないことになっています。
右折する場合は、あらかじめ(約30m手前)道路の中央に寄り、交差点の中心近くの内側を徐行しなくてはなりません。
道路交通法第37条
車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。 |
交通整理のここなわれていない交差点での優劣関係を定めたものに、優先道路があります。優先道路は、以下のような標識によって判ります。
センターラインや車両通行帯(境界線)が、交差点に設けられている道路は優先道路となります。
もうひとつ、道路が明らかに広い道路にも、優先関係が生じます。
道路交通法第36条第2項
車両等は、交通整理の行われていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。 |
道路交通法第36条第3項
車両等(優先道路を通行している車両を除く。)は、交通整理の行われていない交差点に入ろうとする場合において、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差点の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない。 |