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損害賠償の基礎知識

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自動車事故には、法律上の問題がつきまといますが、その理解のためにもまず交通違反と交通事故は別々のものであることを知る必要があります。

交通違反とは、駐車違反やスピード違反等道路交通法に違反した行為をいいます。つまり自動車運転者や歩行者が守るべき義務に違反した場合をさし、法律によって制裁が加えられます。

交通事故とは、自動車によって人身事故を起こしたり、他人の車や財物をこわした物損事故等をいいます。

両者は必ずしも直接的につながるものではなく、交通違反をしていなくても交通事故を起こすこともありうるわけです。


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1.財団法人 日弁連交通事故相談センター             http://www.n-tacc.or.jp/

日弁連交通事故相談センターの相談所が、全国141箇所(各弁護士会内等)に設置されており、法律事務の専門化が交通事故に関するご相談や示談の斡旋を行っています。

2.財団法人 交通事故紛争処理センター      http://www.jcstad.or.jp/

この紛争処理センターでは、学識経験者および弁護士からなる審査員が無料で、和解の斡旋を行っています。

(1)設立の目的・・・交通事故に関する紛争の適正な処理を行い、被害者の救済および公共の福祉に寄与することが目的とされていいます。

この目的を達成するために下記の業務を行っています。

  1. 弁護士による無料法律相談
  2. 弁護士による和解の無償斡旋
  3. 紛争解決のための審査

(2)紛争処理センターの概要・・・紛争処理センターは、東京に本部があり、本部のほかに、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡に各支部が設置されています。

紛争処理センターは、民間の財団法人として設置されており、運営には公正な第三者としての公平性・信頼性が求められています。紛争処理センターには、弁護士が常時配置され、単に相談に応じるだけではなく、被害者・加害者双方の主張を聴取し、公正かつ妥当な判断を加えて和解の斡旋を行うことにより、事故の当事者の要望に応じるしくみになっています。また、和解が難しい場合には、法律専門家による審査会に判断を求めることが可能です。


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損害賠償においては、権利を持つ人が一定の期間その請求権を行使しないときは、その請求権が消滅し、以後賠償を受けることができなくなります(消滅時効)。

1.不法行為(民法第724条)

自動車事故被害者の加害者に対する損害賠償請求権は、「被害者またはその法定代理人が、損害および加害者を知ったと時」から3年経つと消滅します。また、損害のあったこと、および加害者を知ることができなかったときでも、事故発生から20年で請求権が消滅します。つまり、20年を限度として、被害者またはその法定代理人が、損害および加害者を知ったときから3年経つと、時効により請求権を失うことになります。

2.自賠責保険

(1)加害者請求(15条請求)・・・加害者が被害者に損害賠償金を支払ったときから2年(分割して支払ったときは個々の支払額についてその都度その時点から2年)。

被害者が確実に損害賠償金を受領できるように、加害者請求の用件として、加害者が被害者に損害賠償金を支払った範囲でのみ、保険金から請求受領できるとなっております。そのために、加害者請求に当たっては、被害者側からの加害者宛の領収書の添付が不可欠です。

加害者請求と被害者請求とでは、時効の起算日が異なるので、被害者請求権が時効となった場合に、加害者が被害者に対して賠償金を支払い、その領収証をそえ加害者請求を行えば、自賠責保険の支払を受けることができます。

(2)被害者請求(16条請求)・・・被害者またはその法定代理人が、損害および加害者を知ったとき(通常は事故発生日)から2年。

3.自動車保険

賠償責任条項については、示談・判決などによって、法律上の損害賠償責任(賠償額)が確定したときから2年となっておりますが、担保種目別に起算点が異なっています。

4.時効の中断

一定の事実状態の継続が中断することにより、それまでの時効期間は効力を失い、改めて時効は進行します。したがって、損害賠償請求権については、加害者に、また、保険金請求権については保険会社に時効期日前に、時効の中断手続きをとれば、その時点までの時効期間は効力を失い、改めて時効が進行します。(民法第157条第1項)。

5.政府保障事業の時効

政府保障事業の場合は、事故が発生してから2年で時効になり、時効の中断は認められません。


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交通事故の治療には、社会保険が使えないということをよく耳にしますが、決してそのようなことはありません。

とくに、被害者に過失があるような場合とか、ひき逃げ・無保険車による政府保障事業への請求をする場合、あるいは、加害者の負担能力に問題がある場合など、社会保険を利用しておかないと、被害者自身が思わぬ負担を強いられる結果となります。

社会保険には、業務中の傷害・疾病の場合に給付を行う労災保険と、業務外の傷害・疾病の場合に給付を行う健康保険とがあります。

業務中の事故であれば、労災保険を、業務外の事故であれば健康保険を、被保険者(加入者)の権利として利用できます。

被保険者が保険証を病院の窓口に提示し保険診療を申し出れば、病院はその申し出を拒否することはできません。

したがって、その時点から保険診療を受けることができます。

交通事故の被害者の治療の多くが、自由診療で行われているのが実態ですが、自由診療は、健康保険や労災保険を使用する場合のような制約はなく、診療内容についても、病院や医師の自主判断に委されていますので、非常に高額な診療費の請求を受けることが、しばしばあります。

交通事故の大半は、被害者にも何らかの過失があることが多く、このようなときには、損害賠償金は、被害者の過失分だけで相殺されますので、自由診療の費用を加害者が支払っているからと安心していたところ、示談のときに立替金を差引いた結果、被害者の手許には、いくらも残らないという例がよくあります。

被害者の過失が大きいほど、社会保険を利用する効果が大きくなります。

【健康保険切替手続きについて】

健康保険で治療を受ける場合には、保険医療機関病院の窓口に健康保険被保険者証を提出し、診療を受けると同時に、被保険者の所属する社会保険事務所または健康保険組合及び共済組合・地方自治体・区役所などに対し「第三者行為による傷病届」の届出を遅滞なく行ってください。交通事故の被害者は、これにより健康保険の給付を受けることができることになります。

【健康保険の種類と取扱い】

  1. 国民健康保険(市役所、区役所、町・村役場の国民健康保険課)
  2. 政府管掌健康保険(勤務先所属の社会保険事務所健康保険課)
  3. 企業内組合健康保険(勤務先厚生課)
  4. 共済組合健康保険(国家公務員・地方公務員等の各共済組合健康保険課)

【提出する書類】

  1. 第三者行為による傷病届(各所属先所定用紙)
  2. 事故証明書(コピー、所属先規定により本証提出もある。)
  3. 事故状況説明書
  4. 念書(損害賠償権代位取得に関するもの)被害者側提出
  5. 誓約書(求償に応ずることを約するもの)加害者側提出
  6. 診断書

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1.判例にみられる減額理由

  • 過失相殺として減額する考え方・・・運転者の腕とか肩など、身体の一部に触れたことによって事故を誘発したような場合はもちろん、運転者が無資格であったり、飲酒酩酊しているのを知りながら、あえて同乗したような場合や、乱暴な運転を制止しなかったり、違反行為を容認し積極的に事故防止の制止行為をしなかったことを理由に過失相殺を適用するという考え方です。
  • 同乗者に一部危険負担の責任を負わせ減額をする考え方・・・同乗者には、なんら責めるべき過失がなかったとしても、車に乗る以上、ある程度の危険負担を承知で搭乗したものとみなし、危険負担相当分について減額をするという考え方です。
  • 運行供用者要素を割合的責任として考える方法・・・運行供用者は、運転禁止・中止・貸与禁止など、事故防止を100%なし得る立場にある者であり、好意同乗者とは、それをある程度しかなし得ない場合であると考え、その程度を割合的に考えて減額をするという考え方です。

2.認定の方法

被害者が好意同乗者である場合には、同乗に至った経緯、運転者と同乗者の身分的・社会的・生活的関係等の事情によって、判例等を参考に総損害額に対10~30%程度(運行供用者に近いものはそれ以上)の減額を行っています。

さらに、同乗者の中で運転手の飲酒・無免許等を承知で乗っていた場合、登場中に何らかの過失により事故を誘因した場合、あるいは損害を拡大させる原因を作った場合など、積極的な過失の認められる場合等には、好意同乗に対する減額に加えて過失相殺を行っています。

ただし、判決例には、単なる便乗型や同乗するように請われた場合などは慰謝料のみを減額した事例もみられます。


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1.重大な過失による減額

 自賠責保険においては、大量事案の迅速処理と被害者救済の立場から、一般の損害賠償の原則と異なり、軽過失は減額の対象とせず被害者に下記のような重過失(注1)がある場合のも20%・30%・50%(注2)の減額を行います。

  (注1)

  1. 被害者が赤(停止)信号を無視して衝突し相手車にも過失がある場合
  2. 被害者が中央線を越え、対向車と衝突し相手車にも過失がある場合
  3. 被害者が違法駐車車両に追突した場合
  4. その他被害者に上記と同程度以上の重大な過失があると判断できるケース

  (注2)

  1. 被害者に70%の過失があると認定した場合は20%減額
  2. 被害者に80%の過失があると認定した場合は30%減額
  3. 被害者に90%の過失があると認定した場合は50%減額

被害者に重大な過失があると判断したときは、「死亡による損害」および「後遺障害による損害」については、積算した損害額が、保険金額に満たない場合には積算した損害額から、また保険金額を超える場合は保険金額から、20%・30%または50%の減額を行いますが、「傷害による損害」および「死亡に至るまでの傷害による損害」については、20%の減額のみとします。

2.因果関係の認否が困難な場合の減額

受傷と死亡との間および受傷と後遺障害との間の、因果関係の認否が困難な場合は、それぞれ減額を行います。

次のような受傷と死亡との間および受傷と後遺障害の間の因果関係認定が困難な場合は、「死亡による損害」および「後遺障害による損害」について、被害者に重大な過失がある場合と同様精算した損害額から、また保険金額を超える場合は、保険金額から50%の減額を行います。

  • 事故後被害者が自殺した場合で、その原因が事故によるものかそれ以外によるものか判然と市内場合
  • 被害者が既往症等を有していたため、死因または後遺障害発生原因が明らかでない場合

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■人身事故の場合

(1)傷害事故

 1.原則として、被害者本人がすべての損害について請求権者となります。

 2.次のような場合は、本人以外に請求権を認めることもあります。

  • 治療費などを支払った近親者(父母など)
  • 使用人に休業中の給与を支払った使用者
  • 被害者が死亡した場合と同程度の傷害によって、精神的苦痛を被った近親者(慰謝料)

(2)死亡事故

 1.被害者が取得した賠償請求権は、すべて相続人が承継するとして、相続人が請求権を行使することになります。

 2.次のような場合は、相続人以外に請求権が認められます。

  • 死亡のため葬儀費や死亡までの治療費を支払った遺族
  • 死者に扶養されていた者で、相続人とならなかった者(内縁の妻など)
  • 被害者の死亡により精神的苦痛を被った遺族(慰謝料)

 3.原則として死亡の慰謝料請求権者は、死者の子・配偶者および父母とされていますが(民法第711条)、これと同等の立場にある者(内縁の妻・親代わりの兄弟等)についても、慰謝料請求権が認められることがあります。

■物損事故の場合

一般に財物が滅失・破損・汚損などの損傷を被ったことにより損害を被るのは、その財物の所有者、使用・収益権者などになります。


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これは刑罰ではなく、一般に行政処分と呼ばれているもので、管轄地の公安委員会がこれを扱っています。行政処分では免許の取消または停止をするのですが、その基準は、改正のつど厳格になってきており、酒酔い運転をしたり、人を死傷させたり、異種免許・過労運転・速度違反などによって事故を起こしたりしますと、直ちに免許を取り消されてしまいます。

また、免許の取消までいかない場合でも、(特に運転を生業とする職業運転手にとっては)この行政処分は生活に直結する重大な問題です。

以上のように、賠償額は急増し、刑罰は懲役・禁錮の実刑が著しく増え、罰金も高くなり、しかも行政処分は厳格になっています。


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自動車事故によって人を死傷させた場合には、業務上過失致死罪または業務上過失致傷罪(刑法第211条)という罪に問われ、5年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金に処せられることになっています。

また、人身事故を起こした運転者が無免許だったり、酒酔いであったり、あるいはひき逃げなどをしますと、業務上過失致死(傷)罪のほか、道路交通法違反を併合罪として起訴され、また、事故時の状況によっては、故意があったとして殺人罪・傷害罪・保護責任者遺棄罪などによって起訴されることもあります。このような場合には、当然罪が重くなり、ほとんどの場合に懲役の実刑を言い渡されてしまいます。

なお、いわゆる物損事故の場合には、主として道路交通法違反(道交法第70条・第116条)としての責任を問われ、罰金刑に処せられるのが普通です。

平成13年には、危険運転致死傷罪が新設され、罰則が大幅に強化されています。


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  1. 民事上の責任は、実際に事故を起こした運転者(運転補助者を含む)にかかります(民法第709条不法行為責任)。
  2. 次にその運転者を雇用していた会社や雇主がいた場合で、その会社や雇主の「業務執行中」の事故であれば、会社や雇主も、使用者責任民法第715条第1項)を負うことになります。
  3. また、自動車の運行による人身事故に限られますが、自動車の保有者も運行供用者として運行供用者責任自賠法第3条)を負わなければなりません。
  4. なお、使用者に代って被用者を具体的に指揮・監督する関係にある者(工場長・営業所長・支店長その他直属の上司など)は、使用者責任とは別個に代理監督者としての責任を負うことがあります(民法第715条第2項)。

【交通事故の賠償義務者(人身事故の場合)】

人身事故(死亡・傷害)の場合の賠償義務者

 運行供用者自賠法第3条) → 車の持ち主や借り主を一般に車の保有者といいますが、事故車を現実に支配していた者を運行供用者といい、責任を負います。

 加害者本人(民法第709条) → マイカー運転者は、同時に運行供用者となります。

 使用者(民法第715条第1項) - 代理監督者(民法第715条第2項) → 従業員が使用者(法人・個人を問わない)の業務に従事中に事故を起こしてとき、使用者責任を負います。

現在、これらの責任を免れることは、事実上ほとんど不可能に近いといってよいでしょう。車を他人に貸した場合に借り受けた人が起こした事故の責任を、車の貸主が負うことはもちろん、家族・友人・使用人等が車を無断で持ち出して起こした事故についても保有者は責任を負わなければなりません。

また近年、停車車両が、交通の流れを阻害し、交通渋滞の要因を形成しているとして問題となり、自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法といわれています)が改正されてからは違法駐車車両の保有者に対する民事上、刑事上の責任が重くなってきたり、車のキーをつけたまま路上に駐車中、第三者がこの車を盗んで運行中に起こした事故でも、保有者が責任を負うこともあります。

このように賠償責任の範囲が拡大し、賠償金額も高額化してきています。


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プロフィール

りょう@48

  • 福岡
  • 保険代理店勤務

 

私はスローリッチスタイル実践キャンプ に影響を受け皆様に価値ある・役に立つ情報提供を実践しています。